アラスカの本についての私感
年末年始で星野道夫の著書「旅をする木」「ノーザンライツ」を読んだ。
NHKラジオ英会話で舞台がハワイとアラスカだった年、
私は舞台背景のアラスカに憧れすぎて、
6年後、初めての海外旅行にアラスカに行ってしまった。
そんな有様だったので、もちろん星野道夫という名前は知っていて、
写真集を手に取ったこともあったに違いないけれど、
しっかりと本を読んだのは、今回がたぶん初めてだった。
アラスカの、雪がこんもり積もった冬の、暖かい室内にいるような文章を読むにつれ、
自分で見てきたアラスカの人の人あたりの良さや、家や、景色が眼前に広がった。
私の好きな「田舎」の良い面が凝縮されたような景色だった。
雪の積もるログハウス、ダイニングルームは暖かくて湯気がたっていて、
外は雪に埋もれていて、アスペンやスプルースの林が広がっている。
その外には雄大な景色と野生生物の世界が広がっている。
アラスカに行こうだなんて、あんなエネルギーは私にはもうないなぁ、若いころのエネルギーってすごかったなぁ、
と、この数年は思っていたけど、違う。
アラスカが強すぎて、行こうと思うほどだった。
そして、私にとってアラスカほどに魅力的な旅先はその後も見つかっていない、らしい。
本の中身にもどると、
アラスカもこの変化の時代にあって、原住民たちの生活にも影響しはじめ、昔ながらの狩猟生活は送れなくなってきている、という状況が書かれている。
著者が自然や先住民のこれまでの暮らしを守りたい方向であることは間違いないけれど、
頑なに変化に抵抗するわけではなく、ある程度は流れにのる、というスタンスが感じられる。(流れにのらざるを得ないし、どうなっていくんだろうと心配もしているが、基本的にはそのあたりも含めて全体を肯定している)
環境保護や昔ながらの生活様式の維持と、現代的な経済活動が天秤にかかった場合、こたえは完全なるどちらか一方ではない、というようなこと。
変化していく世界のなかでも次世代のリーダーが育っていき、新しいバランスを築いていく、それを任せていける人が育っていく、ということ。
「変化していく世界は必ず、なんらかの面で良い方向に進んでいる
そして、未来を担う若い世代が着実に育っている。」
(どこに記載してあったか見つからないので正確ではないけど…)
なんかきらっとした世界を久しぶりにのぞいてしまった。
その姿勢が素敵だし、私もそっち側にいきたいなぁ、と思ったのです。
本には何かの主張が声高に書いてあるわけではなく、あくまでアラスカの自然や人々の暮らし、出会った人のことなどが書かれているのだけれど、
この本はきっと、どこを読んでもなんらかの示唆をうけとってしうような本だと思う。
読み手の状況次第というか、読み手の 思っていることに応える部分があるというか。
たぶん、読み取れることがもっとあると思うので書き足すかもしれない。
また何か書きたくなったら書きます。